秋田ひろむ

満たされた時代に生まれた と大人は僕らを揶揄した どこに安寧があるのだと 気付いた時にはもう遅かった 不穏な煙が立ち昇り あれは何だと騒ぎ立てた 奴から順に消えて行った 今じゃ町ごと墓場だ 土砂降りの雨の中を 傘もささないで歩いた 「傘が無い」と口ずさむけど むしろ傘を買う金が無い 狭いアパートに戻っても 惨めでまた死にたくなった 「お買い求めはお急ぎを」 とテレビだけが嫌に賑やかだ 未来には期待しないよ 息も出来ないよ 夜の闇の中 不安で眠れない 愛されるだとか 愛するんだとか それ以前に僕ら 愛を買わくちゃ 消費せよ 消費せよ それ無しではこの先 生きてけない 消費せよ 消費せよ それこそが君を救うのだ 急いで買いに行かなきゃ 誰よりも多く買わなきゃ 奪ってでも手に入れなきゃ 愛を買わなくちゃ